
オヤジがバンドを続ける苦労
若くても社会人バンドだったら、必ず悩まされたのが仕事との時間調整だ。
仕事が終わって「さあ明日はライブだ。頑張るぞー」と退社しようとした瞬間、上司に呼ばれて「明日、休日出勤する様に」だとか「急で悪いんだが明日朝一から〇×県の方へ出張してくれ」なんて言われて、皆には迷惑掛けるし、張り切って準備して来て本番直前の、この宣告に何度泣かされたか。と言う話しはカナル牧野が会社員時代に何度か経験しているだけではなく、今でもほかの人達からも耳に良く入ってくる。
アフターファイブライブでも同じことで、予定を開けておきたいと前もって伝えていても、仕事は「急に」と言う変更を押し付けてくるそうだ。
「急に取引先からの依頼で、何時までに」だとか「誰かがヘマをしたので、今日中に後始末をしないといけない」とか。
年齢が上がってくると、自分の予定は自分で決めたり出来る様になってくるが、それでも部下が病欠したりするとか、取引先から急ぎの依頼が来て、予定が狂わされたりするんですよね。
今でこそ、バンド内で誰かが仕事に遮られて、ライブ当日に来れなくなったからと言って、目くじらててギスギスした状態になることもなくなったが、30代の頃までは、誰かが仕事でライブに支障を出したりすると、たちまちバンドの雰囲気が悪くなって「俺はもう辞めるぜ」とか言い出す奴がいたりしたものです。
なぜか職場の自由度が高い人ほど、他の人が苦労して時間調整をしてるのを無視して、他の人も自分と同じだと思っているのも、いつも同じでしたね。
さすがに、この歳になると、みんな職場での苦労が分かり合えるし、寛容さもなくバンドを飛び出す方が迷惑なこともわかっているので「運が悪いな、しかたがないな」ですむ様になってきているわけです。
なんにしても、一旦バンドを飛び出してしまうと、次がないんだから、少々腹が立っても大人の対応を心掛ける様にはなるわけです。
バンドを一つ壊してしまうと、やり直しが出来ない。
それを、みんなが分かっているんですね。
仕事の責任を負わされる様になると「明日はライブだから」とか言えなくなるわけです。ライブ前日に若い社員がミスをしでかして、その後始末に追われると言うことも、ジンクス化してしまっていたりして、オジサンたちは頭が痛いそうですよ。
ギター抜きライブもヴォーカルなしライブも、ドラム抜きライブも辛いよねー。
この悩みはカナル牧野だけではなく、よそのバンドも大体同じような悩みを持っている様だ。
職場や上役がバンドに理解を持ってくれたり、寛容だったとしても、取引先と言う相手がある以上は、好き勝手は許されない。
職場や上役がバンドに否定的だったりすると、前もって予定を組んでいても、バンドの予定なんかお構いなしになんですよね。
上役が「バンドしてるのか。面白そうだな。時間があれば見に行きたいな」と言う人でも、職場自体が「あいつ、バンドだライブだと言って先抜けしようとしやがって。なんとかみんなで阻止してやろう」と言う様な同調圧を加えてくる場合だってあるそうだ。
ここまでまとめて見ると、オヤジバンドだからと言うよりは、社会人バンド全般に言えることだ。
それでは学生バンドはどうだろうか。
最近は学生のバイトであっても、雇い主が嫌味ったらしくライブ当日に急にシフトを組み替えて、拒否したりすると、結構煩いことを言われるらしい。
苦労しているのはオヤジバンドだけではないと言うことだ。
